1. 研究のきっかけ
教習所のシミュレータについて
私は幼少期からモータースポーツに親しみ、レーシングシミュレータやレーシングカートを通じて運転技術を習得してきました。しかし、自動車教習所で初めて教習用のシミュレータを体験した際、ある種の違和感を抱きました。同じシミュレータであるにもかかわらず、実車で感じるはずの車幅や対象物との距離感が直感的に掴めないという状況に直面しました。
画面の中の道路はきれいに描画されているのに、
「前の車との距離が直感的に分からない」
「カーブの曲がり具合が読めない」
という現象が起こりました。
結果として、右左折時に脱輪してしまったり、逆に慎重になりすぎて対向車線に飛び出てしまう状況が多発しました。
「なぜ、普段ゲームで走れている自分が、教習所のシミュレータではうまく走れないのか」
「このままでは多くの人が運転に対して恐怖感を抱き、車離れを加速してしまうのではないか」
という疑問と思いが、本研究のきっかけとなりました。
1-1. 既存シミュレータの課題
調査を進めると、私が感じた違和感の正体は、現在の主流である「ディスプレイ式シミュレータ」が抱える構造的な限界にあることが原因であると結論付けました。
人間は普段、両目の視差や首を使って頭を回したりして車幅などの空間認識を行っています。しかし、平面のディスプレイではその情報がありません。限られた視野と平面での表示であるからです。
| 比較項目 | 実車(現実) | 従来のディスプレイ式DS |
|---|---|---|
| 距離・奥行き | 両眼視差により、直感的に把握可能 | 平面映像のみ 脳内で補完する必要がある |
| 視野・確認動作 | 首を振れば真横や後ろが見える | 視野角が固定 巻き込み確認などがボタン操作等になり、形骸化しやすい |
| 運転感覚 | 五感での操作 | 平面の視覚情報のみに頼る |
これでは、本来の目的である「安全運転技能の習得」が達成できないのではないかと考えました。
1-2. VR技術を用いたシミュレータの提案
この課題を解決する鍵として着目したのが、近年急速に低価格化・高性能化が進むVR(Virtual Reality)技術です。
HMD(ヘッドマウントディスプレイ)を装着することで、以下の2つの革新が可能になると仮説を立てました。
-
① VRによる立体視の実現
実車と同じように「目標にしている電柱までどのくらいの距離であるか」「この隙間なら通れるかどうか」という感覚が、理屈ではなく直感で分かるようになる。 -
② VRによるヘッドトラッキング
交差点で右を向けば右の景色が見える。これにより、目視による安全確認という運転の基本動作を実車と全く同じ身体動作で行えるようになる。
1-3. 教習所導入へ向けた低コスト実装の検討
もう一つの重要な動機は「コスト」です。
現在、高いリアリティを持つVRシミュレータは一部の研究機関や自動車メーカーにしか存在せず、数百万〜数千万円規模のコストがかかります。
それでは自動車教習所に普及しないと考えています。
「市販のPCと、数万円のVRゴーグル等で業務機材を代替できるシステムを構築すること」を目標として、この研究を行いました。
本研究では、一般に広く遊ばれているレーシングシミュレータ『Assetto Corsa』と、実際にレース現場で用いられるの解析ツール『MoTeC』という、プロユースに耐えうるツールを組み合わせることで、低コストかつ高精度な「教習所向けVRドライビングシミュレータ」の実現を目指しました。
2. 研究の目的とアプローチ
2-1. 本研究の目標
本研究の最終的な目的は、単にVRシミュレータを開発することにとどまりません。
「VR空間における運転訓練が、従来のディスプレイ環境と比較して、学習者の空間知覚や操作精度にどのような優位性をもたらすか」を検証することです。
そのために、同一の物理挙動を持つディスプレイ環境(従来手法)とVR環境(提案手法)を用意し、以下の2つのデータを用いた比較検証を行いました。
Approach A 定量的データによる検証
取得した数値データで評価
取得された数値データを集計し、車両の物理挙動をグラフ化して比較します。
特に空間認識のズレは、無意識のハンドル操作に表れるという仮説のもと、以下の項目を重点的に解析しました。
- 修正舵(Steering Corrections):
カーブの出口等で、距離感を見誤ったために発生する「ハンドルの切り足し・戻し」の量。 - ステアリング操作の滑らかさ:
一回の操作で適切な舵角に到達できているか。 - ペダルワーク(アクセル・ブレーキ):
恐怖感や迷いによる踏み直しが発生していないか。
Approach B 定性的データによる検証
感覚の差異を評価する
数値には表れない、運転者の内面的な感覚をアンケートによって可視化します。
- 距離感・車幅感覚の把握:
停止線や信号までの距離や自車が道路のどこにいるかが直感的に分かったか。 - 恐怖感とリスク認識:
ゲーム的な感覚ではなく、実車同様のぶつかるかもしれないという適度な緊張感を持てたか。 - 没入感とVR酔い:
システムの実用性において重要な、生体的な不快感の有無。
2-2. 先行研究と本研究の立ち位置
VRを用いた運転訓練システムについては、これまでにも設計手法や空間認知の観点から多くの研究が行われてきました。本研究の基盤となる代表的な先行研究として、以下の2点が挙げられます。
① システム設計と操作性評価の研究
例えば、平石研究室のCHU WENXIONG氏らは、VR技術を用いたドライビングシミュレータの基本設計とその評価を行っています。この研究では、VR空間での運転操作がどの程度実用性に耐えうるか、システムの構築とユーザービリティの検証に主眼が置かれています
② VR空間特有の距離感の研究
日本大学生産工学部の森尾氏らは、建設機械シミュレータを用いて「VR空間特有の距離感」に着目した研究を行っています。VR空間内では距離の見積もりが現実よりも困難になる場合があることを示唆し、床面の影表示といった視覚補助が距離感の把握に与える影響を調査しています。
本研究の独自性
これら先行研究に対し、本研究は「定量的データ(運転操作)」と「定性的データ(主観評価)」の双方を組み合わせ、ディスプレイ式とVR式の明確な差異を実証した点に独自性があります。
この2つの軸を掛け合わせることで、VRが「なぜ、どのように」運転に寄与するのかを多角的に実証しました。
2-3. 比較実験の概要
上記の評価を行うため、本研究では被験者(大学生を含む19名)に対し、以下の2条件で同一コースを走行させる実験を行いました。
| 条件 | 環境の定義 | 想定される課題 |
|---|---|---|
| ディスプレイ式条件 (従来手法) |
一般的な55インチ平面モニタを使用。 視野角が固定され、奥行き情報は2次元映像から脳内で補完する |
距離感が掴みにくいため、カーブ手前での減速不足や、ハンドルの切り遅れが多発する可能性がある |
| VR式条件 (提案手法) |
HMDによる立体視とヘッドトラッキングを使用 実空間と同様に首を振って視野の確保が可能 |
実車に近い感覚が得られる反面、慣れていない被験者にはVR酔い等の生理的負荷が生じる可能性がある |
次章よりこの実験環境を実現するために構築したハードウェアおよびソフトウェアの詳細なシステム構成について解説します。
3. システム構成
本研究では自動車教習所への導入を想定し、特殊な業務機器を使用せず、入手が容易な民生用機器のみで構成されるVRドライビングシミュレータを構築しました。
システムは、没入感を提示するハードウェア部と、車両運動力学を再現し、かつ運転挙動をデータ化するソフトウェア部から成ります。
製作したシミュレータの全体図
3-1. ハードウェア構成
実用可能な実験用シミュレータの製作において、代表的に以下の3つのデバイスを使用しました。
Meta Quest 3S
インサイドアウト方式のトラッキングにより、外部センサー不要で6DoFを検出。交差点での巻き込み確認など、実車同様の頭部運動を可能にします。
Logicool G29 Driving Force
フォースフィードバック機能を搭載。タイヤのグリップ感や路面の凹凸を触覚情報として提示し、路面状況の把握を支援します。
Playseat Challenge
折りたたみ可能なレーシングコクピットを採用。ドライビングポジションの安定化と、省スペースでの運用を両立します。
3-2. ソフトウェア構成
本システムの重要な点として、シミュレータから出力されたデータを抽出し、解析してディスプレイ式とVR式を比較する点にあります。
システム間のデータフローを図に示します。
ソフトウェア間のデータ連携フロー図
図に示す通り、Assetto Corsaから出力された車両データは、インタフェースを経由して走行データを蓄積、走行終了後解析ソフトに取り込み可能な形にデータ化します。
各コンポーネントの詳細は以下の通りです。
(1) Assetto Corsa、レーシングシミュレータ(物理エンジン部)
シミュレーションの基盤には、イタリアのKunos Simulazioni社が開発したレーシングシミュレータを採用しました。
本ソフトウェアは、車両挙動の計算において極めて高い再現性を有しており、実際のレーシングチームがシミュレータ用ソフトとして採用する水準にあります。
これにより、ハンドル操作時の挙動や、アクセル・ブレーキの感覚を実車のように再現します。
(2)ACTI(Assetto Corsa Telemetry Interface)、データ連携インターフェース
Assetto Corsaが出力する共有メモリ上の物理データを、解析ソフトが読み取れる形式に変換・転送するために、ミドルウェアとして『ACTI』を使用しました。
本システムでは、Pythonスクリプトによる制御を通じて各種物理データの抽出を行い、UDPソケット通信にてデータを蓄積、走行終了後、後段の解析ソフトへデータを送出しています。
(3) MoTeC i2 Pro、走行データ(テレメトリ)解析
定量評価の中核として、Super GTやSuper耐久等の実車レース界で標準採用されている解析ツール『MoTeC i2 Pro』を統合しました。
これにより、以下の詳細データをサンプリングレート 33Hz(1/33秒)で記録・解析することが可能となりました。このように取得された定量的データは「テレメトリ」と言われ、MoTeC上で処理することによりグラフ化することが可能になります。
-
今回、取得した主なデータとして以下のものがあります。
- ステアリング舵角 [deg]: 操舵の滑らかさや、修正舵の発生状況
- アクセル開度 [%]: アクセルの操作量
- ブレーキ踏度 [%]: ブレーキの操作量
- 他、50項目以上…
4. 実験内容
本章では、構築したVRドライビングシミュレータを用いて実施した実験の具体的な内容について述べます。
本研究では、表示方式の違いが運転操作に与える影響を明らかにするため、同一条件下での比較実験を行いました。
4-1. 実験の流れ
実験は、被験者1名につき以下の手順で実施し、大学生を中心とする19名に実験を行いました。
操作への慣れや偶然の影響を抑えるため、走行前には十分な説明と練習時間を設けています。
- 実験内容の説明: 実験の目的、操作方法、安全上の注意点を説明
- 練習走行: シミュレータ操作に慣れるための練習走行を実施
- 本番走行: ディスプレイ式条件およびVR式条件で、同一コースを走行
- アンケート回答: 各条件走行後に主観評価アンケートを実施
VRを装着し走行を行っている図
4-2. 走行課題の設定
実験に用いた走行課題は、自動車教習所での運転訓練を想定し、 距離感や車幅感覚の違いが操作に表れやすい場面を含む構成としました。
- 交差点における右左折動作
- 中速域での連続カーブ走行
- 直線区間からの減速操作
特に右左折およびカーブ走行では、車両位置の見誤りに起因する 過剰な修正舵が発生しやすいため、本研究における主要な評価対象としました。
実験で使用した走行コースレイアウト
4-3. 実験条件の統一
表示方式以外の要因が実験結果に影響を与えないよう、以下の条件をすべて統一しました。
- 使用車両および車両物理モデル
- 走行コースおよび環境条件
- ステアリング・ペダルの設定
- データ取得条件(サンプリングレート等)
これにより、表示環境の違いのみが運転操作に与える影響を評価可能な実験系を構築しました。
4-4. 取得データ
各走行において、Assetto Corsaから出力された物理データをACTI経由で取得し、 MoTeC i2 Proを用いて解析を行いました。
- ステアリング舵角: 修正舵の発生状況および操作の滑らかさ
- アクセル開度: 加速操作の安定性
- ブレーキ踏度: 減速操作のタイミングと強さ
これらの定量データに加え、走行後アンケートによる主観評価を組み合わせることで、
VR環境が運転行動に与える影響を多角的に分析しました。
なお、本研究では複数の走行区間および評価指標について解析を行っていますが、
その中でもD点付近におけるステアリング操作に最も顕著な差異が確認されました。
そのため本章以降では、D点におけるハンドル操作を主な評価対象とし、表示方式の違いが運転操作に与える影響について重点的に説明を行います。
5. 実験結果
本章では、構築したVRドライビングシミュレータを用いて得られた実験結果について示します。
まず初めに、本研究で実際に行われた走行の様子を動画にて示します。
表示方式の違いによる運転動作の差異を直感的に把握するため、先にこちらの映像をご覧ください。
5-1. 走行映像(参考動画)
以下の動画は、同一条件下においてディスプレイ式およびVR式で走行を行った際の様子を記録したものです。
今回示す動画は、免許所持者でたまに運転を行う程度のドライバーが実験を行っている様子であり、かつコース図におけるD点の動画となります。
実験環境の妥当性および、運転動作の違いを確認するための参考資料として提示します。
| ディスプレイ式 | VR式 |
ディスプレイ式およびVR式における走行映像(参考)
5-2. 表示方式による運転操作の比較
まず、ディスプレイ式およびVR式それぞれにおける走行データを比較した結果を示します。 以下は、D点付近におけるステアリング操作の時間変化を可視化した代表的な例です。
グループ1,免許所持者におけるグラフ上での挙動変化
5-3. 被験者グループ別の解析結果
次に、被験者を複数のグループに分類し、それぞれの運転特性を比較しました。 各グループにおいて、ディスプレイ式とVR式の差異がどのように表れるかを示します。
各グループ(免許保持等)の顕著な挙動変化
5-4. アンケート結果
定量データに加え、走行後に実施したアンケート(n=19)を示します。 運転時の感覚、VR酔いについて、総合的な評価についてをグラフ化したものが以下になります。
距離感の把握に関する評価
VR酔いに関しての評価
最終評価
6. 考察
本章では、前章で示した実験結果をもとに、表示方式の違いが運転操作に与える影響について考察します。 特に、本研究において差が顕著に現れたD点での運転挙動に着目し、定量データおよび主観評価結果の両面から検討します。
6-1. 表示方式の違いが運転操作に与える影響
実験結果より、ディスプレイ式と比較してVR式では、ステアリング舵角の変動が抑えられ、 修正舵の回数が減少する傾向が確認されました。 これは、VR式において奥行き情報や車両位置の把握が直感的に行いやすくなったことが要因であると考えられます。
ディスプレイ式では、画面上の情報から距離感や車幅感覚を補完する必要があり、 その結果として過剰な操作入力が発生しやすくなります。 一方でVR式では、立体視による空間認知が可能となるため、 より実環境に近い感覚で運転操作を行えていると考えられます。
6-2. D点における操作差が顕著となった要因
本研究において、走行コース中のD点では、他の区間と比較して表示方式による操作差が最も大きく現れました。 D点は右左折および進路修正が同時に求められる箇所であり、 車両位置の把握精度が運転操作に大きく影響する区間です。
VR式では視点移動と空間認知が自然に行えるため、進行方向に対する車両の向きや位置関係を把握しやすく、
結果として安定したステアリング操作につながったと考えられます。
一方、ディスプレイ式では視野が限定されることにより、
進路修正の遅れや過剰な舵角入力が発生しやすいと考えられます。
VR式におけるD点での視線
6-3. アンケートに基づく考察
自由記述欄の回答を分析すると、VR式に対して以下のような評価が多く見られました。
- 距離感が掴みやすい
- 左右確認が自然に行える
- 実際に運転している感覚に近い
これらの意見は、HMDによる立体視およびヘッドトラッキング機能によって、
実車に近い視覚情報が得られたことに起因すると考えられます。
特に交差点進入時やカーブ走行時において、視点移動と視覚情報が一致することで、
空間認知が向上した可能性が示唆されます。
一方で、ディスプレイ式に関する自由記述では、以下のような意見が多く見られました。
- 距離感が掴みにくい
- 左右確認が制限される
- 画面を「見ている」感覚が強い
ディスプレイ式では視点が固定されているため、交差点やカーブ進入時に
自発的な視線移動が行いにくく、空間把握に遅れが生じる可能性があると考えられます。
また、画面サイズや視野角の制限により、実車運転時に得られる周辺視野情報が
十分に再現されていない点も影響していると推察されます。
VR式に関しては高い没入感が評価される一方で、身体的負担に関する意見も一部見られました。
- 長時間使用時に疲労を感じる
- 速度感が強く、恐怖感を覚える場合がある
- 個人差によりVR酔いが発生する可能性がある
これらは、視覚情報と身体感覚の不一致や、HMD装着による物理的負担が
影響していると考えられます。
特に速度感や臨場感が強く再現されることは、現実に近い運転体験を提供する反面、
被験者によってはストレス要因となる可能性も示唆されます。
以上のアンケート結果および自由記述の分析から、ディスプレイ式とVR式の 主観的評価の傾向を以下に整理します。
- VR式は距離感・視野・没入感の面で高く評価される傾向がある
- ディスプレイ式は身体的負担が少なく安定した操作が可能である
- 運転経験や酔いやすさによって評価が分かれる
7. 本研究のまとめと今後の展望
7-1. 本研究のまとめ
本研究では、ディスプレイ式およびVR式の二種類の表示方式を用いた ドライビングシミュレータを構築し、表示方式の違いが運転操作および 主観的評価に与える影響について検討しました。
実験結果より、VR式ではステアリング舵角の変動が小さく、 特に走行コース中のD点において安定した操作が行われる傾向が確認されました。 これは、立体視および視点移動が可能な環境により、車両位置や進行方向を 直感的に把握しやすくなったことが要因であると考えられます。
一方、ディスプレイ式では視野が限定されることから、 距離感や車幅感覚の把握に補正が必要となり、 その結果として修正舵が増加する傾向が見られました。
また、アンケート結果および自由記述の分析から、 VR式は距離感や没入感の面で高く評価される一方で、 身体的負担やVR酔いといった課題も確認されました。
7-2. 表示方式の比較整理
本研究で得られた結果をもとに、ディスプレイ式およびVR式の特徴を 以下の表に整理します。
| 評価項目 | ディスプレイ式 | VR式 |
|---|---|---|
| 距離感・車幅感覚 | 画面上の情報から補完する必要があり、把握が難しい場合がある | 立体視により直感的に把握しやすい |
| 左右確認・視野 | 視野が限定され、左右確認が制限される | 視点移動が自然に行え、周囲状況を把握しやすい |
| 操作の安定性 | 修正舵が発生しやすい | 安定したステアリング操作が可能 |
| 没入感 | 画面を見ている感覚が強い | 実際に運転している感覚に近い |
| 身体的負担 | 疲労や酔いが少ない | 個人差により疲労やVR酔いが発生する場合がある |
7-3. 今後の課題と展望
今後の課題として、被験者数の増加および運転経験の違いを考慮した より詳細な分析が挙げられます。 特に、運転頻度や免許保有状況、VR使用経験といった要因が 操作特性および主観評価に与える影響を明確にする必要があります。
また、VR式において指摘されたVR酔いや身体的負担の軽減は、 今後の重要な課題の一つです。 描画遅延の低減や視野角の最適化、操作デバイスの改良を行うことで、 より長時間利用可能なシステムへの発展が期待されます。
さらに、本研究で構築したドライビングシミュレータは、 運転技能教育や危険予測訓練への応用が可能であり、 実車訓練と組み合わせることで、 安全かつ効率的な教育環境の構築に寄与できると考えられます。
実験結果およびアンケート結果から、VR式は没入感や距離感の把握に優れる一方で、身体的負担や個人差といった課題も存在することが確認されました。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
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参考文献
学術文献
- [1] 栗谷川幸代, 景山一郎: “ドライバ特性計測のためのドライビングシミュレータの活用に関する研究”, 日本大学生産工学部研究報告 A, Vol.42, No.2, pp.11-18, 2009.
- [2] CHU WENXIONG, 平石広典: “VR ドライビングシミュレータを用いた生体反応計測と運転特性の評価”, 足利大学研究集録, 第 55 号, pp.39-43, 2021.
- [3] 森尾祐太, 栗谷川幸代: “Virtual Reality を利用した建設機械シミュレータの距離感向上に関する研究”, 日本大学生産工学部第 55 回学術講演会講演概要, 2-31, pp.183-184, 2022.
- [4] 渡邊海斗, 大西克彦: “生理指標を用いた VR 酔いの発生状況の検証”, 第 28 回日本バーチャルリアリティ学会大会論文集, 3C1-01, 2023.
ソフトウェア・ハードウェアリソース
- [5] DELE, “Logicool G29 Driving Force レーシングホイール,” Online Available
- [6] DELE, “Playseat Challenge Actifit,” Online Available
- [7] Meta, “Meta Quest 3S,” Online Available
- [8] Kunos Simulazioni, “Assetto Corsa,” Online Available
- [9] AcClub, “Content Manager,” Online Available
- [10] Valve Corporation, “SteamVR,” Online Available
- [11] Valve Corporation, “OpenVR SDK,” Online Available
- [12] KLGrease, “ACTI – Assetto Corsa Telemetry Interface,” Online Available
- [13] MoTeC, “MoTeC i2 Data Analysis Software,” Online Available

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